映画『コマンドー 』あらすじ起承転結

アクション

★☆筋肉爆発、愛娘を救え☆★

映画『コマンドー』要約

本作は、アクション映画界の金字塔であり、主演を務めたアーノルド・シュワルツェネッガーの代表作として世界中で長年愛され続けている超エンターテインメント・アクション大作です。かつて特殊部隊「コマンドー」の隊長として数々の不可能な任務をこなしてきた伝説の兵士ジョン・メトリックスが、南米の独裁者一味によって奪われた幼い愛娘ジェニーを奪還するため、たった一人で巨大な敵組織へと殴り込みをかける姿を描いています。

緻密な駆け引きや複雑なサスペンスを一切削ぎ落とし、「愛する娘を救うために立ちはだかる敵を力と圧倒的な火力で破壊し尽くす」という極めて明確で痛快なストーリー展開が最大の魅力です。ロケットランチャーやマシンガンを手に、敵の兵士たちが待ち受ける孤島へ単身乗り込んでいく怒涛のクライマックスは、観る者に一切のストレスを与えない圧倒的な爽快感を提供します。

ユーモアに富んだキレのある名セリフの数々、スピード感溢れる無敵のバトルアクション、そして父と娘の絆を描いた王道なドラマ要素が一体となり、公開から40年近くが経過した現在でも色褪せることのない肉体派アクション映画の最高峰として君臨しています。

作品情報

  • タイトル 『コマンドー』(原題:Commando)
  • 公開年 1985年(日本公開:1986年2月22日)
  • 監督 マーク・L・レスター
  • 脚本 スティーヴン・E・デ・スーザ
  • 製作 ジョエル・シルバー
  • 音楽 ジェームズ・ホーナー
  • 製作国 アメリカ合衆国
  • 上映時間 90分(劇場公開版) / 92分(ディレクターズカット版)
  • ジャンル アクション、バイオレンス、ハードボイルド

物語の構成

起:山奥の平穏と愛娘の誘拐

かつて米軍の秘密特殊部隊「コマンドー」の隊長として数々の極秘作戦を成功に導いた凄腕の退役軍人ジョン・メトリックス大佐は、軍を去った後、人里離れた静かな山奥のログハウスで最愛の娘ジェニーと平和で穏やかな日々を送っていた。大自然の中で釣りを楽しみ、二人で仲良くアイスクリームを食べ合うなど、かつての血生臭い戦場とは無縁の温かい時間を過ごしていた。

しかしある日、彼らの前にかつての上官であるカービィ将軍がヘリコプターで突如として現れる。将軍は、メトリックスのかつての部下たちが次々と何者かによって暗殺されている事実を告げ、敵がメトリックスの居場所をも突き止める危険性があるとして警護の兵士を配備して立ち去っていった。

将軍が去った直後、山荘は突如として謎の武装集団による強襲を受ける。メトリックスは即座に銃を手に取り、侵入者たちを相手に凄まじい戦闘力で応戦するが、敵の真の狙いはメトリックスの抹殺ではなく、娘のジェニーを誘拐することだった。目の前で愛娘を連れ去られたメトリックスは、激しい怒りとともに敵の車を素手で追いかけ、追撃を試みるものの、麻酔弾や大勢の敵の手によって捕らえられてしまうのだった。

承:脱出と11時間の追跡劇

目覚めたメトリックスの前に現れたのは、かつて南米のバル・ベルデ共和国で独裁政権を誇っていたものの、メトリックスたちの活躍によって政権を追われた元大統領アリアスであった。そしてアリアスの傍らには、過激で粗暴な性格ゆえに過去にメトリックスによって部隊を追放された元部下、ベネットの姿があった。

アリアスたちの目的は、バル・ベルデの現大統領を暗殺して再び独裁政権を打ち立てることであり、その暗殺を実行させるための手札としてジェニーの命を盾に取ったのである。娘を無事に返してほしければ、バル・ベルデ行きの旅客機に乗り込み、指示通りに現大統領を射殺してこいと脅迫されたメトリックスは、やむを得ず従うフリをして旅客機へと搭乗する。

しかし、娘が人質にされている以上、命令に従ったところで命の保障はないと確信していたメトリックスは、離陸直前の混乱に乗じて自らを監視していたアリアスの手下を密かに倒すと、走行中の旅客機の脚格納庫から池へと身を躍らせて脱出に成功する。目的地までのフライト時間は約11時間。メトリックスはこの「11時間」というタイムリミットが切れる前に、アリアスたちの潜伏先を自力で突き止め、娘を救出しなければならなかった。

飛行場から敵の残した手掛かりを追うメトリックスは、敵の手下であるスーリーという男を追跡する過程で、偶然居合わせた民間人の客室乗務員シンディを巻き込む。最初はメトリックスを怪しい犯罪者と疑い抵抗していたシンディだったが、彼の真摯な姿勢と圧倒的な行動力、そして娘を想う強い意志を感じ取り、次第に彼の復讐と救出の旅に協力することを決意する。

メトリックスはショッピングモールでの激しい死闘の末にスーリーを追い詰め、断崖絶壁から突き落として抹殺。さらに、アリアスの関与する貿易会社の関係者サルをカーチェイスの果てに倒し、敵の取引現場で得た地図や航海指針などの情報から、アリアス一味が拠点としているバル・ベルデ沖の隔離された孤島の存在を割り出すことに成功する。

転:武器調達と孤島への潜入

アリアス一味が潜伏する孤島へと向かうため、メトリックスとシンディは大量の火器を確保すべく大型のミリタリーショップへと忍び込む。店内の壁を破って不法侵入したメトリックスは、重機関銃、自動小銃、手榴弾、散弾銃、地雷、そして超強力なロケットランチャー(M202 FLASH)に至るまで、あらゆる壊滅的な武器弾薬をかき集めて身に装着していく。

しかし、作業の最中に通報を受けた大量の警察隊に包囲され、メトリックスは一時は逮捕されて護送車に乗せられてしまう。絶体絶命のピンチに陥ったものの、ここで覚醒したシンディがロケットランチャーを構え、護送車に向けて車体底面を吹っ飛ばす形で命中させ、見事にメトリックスを救出する。警察の追跡を間一髪で振り切った二人は、港に係留されていた水上飛行機を強奪し、夜の闇に紛れて敵の根拠地である孤島を目指して大空へと飛び立った。

孤島の近海へと到着したメトリックスは、水上機からゴムボートへと乗り移り、一人静かに敵の海岸へと上陸する。全身に迷彩塗料を塗りたくり、胸や腰に大量の弾帯と爆薬、ナイフを装着したメトリックスは、まさに歩く人間兵器「コマンドー」へと完全覚醒を果たす。

島内にはアリアス元大統領が配置した数百人規模の私設軍隊が厳重な警戒態勢を敷いていた。しかしメトリックスは、敵の基地内の重要施設や兵舎の全周にわたって遠隔操作式の爆薬をセットすると、一斉に爆破を開始。島全体が巨大な火柱と大爆破に包まれ、大混乱に陥った敵陣地の真っ只中へ、メトリックスは凄まじい咆哮とともにたった一人で突入を開始するのだった。

結:宿敵粉砕と愛娘の救出

圧倒的な火力と人命を無視した射撃によって、アリアスの私設軍隊は次々と倒されていく。メトリックスは銃身が焼け付くほどの猛烈な連続射撃を浴びせ、近づく敵兵を格闘術やナイフで一蹴し、基地を壊滅状態へと追い込んでいく。要塞の深部へと追い詰められたアリアスは自ら自動小銃を手に取って抵抗するが、メトリックスの容赦ない銃撃によって胸を撃ち抜かれ、哀れな最期を遂げた。

アリアスを倒したメトリックスは、地下のボイラー室に潜入し、ついに捕らわれていた愛娘ジェニーの姿を発見する。しかし、そこへ物陰からベネットが立ちはだかり、ジェニーの頭に拳銃を突きつけて人質に取る。ベネットはメトリックスに対する長年の憎悪と嫉妬を剥き出しにし、銃を捨てて素手での決闘に応じるよう要求してくる。

メトリックスは銃を捨て、二人はボイラー室の中でナイフと肉体を駆使した凄絶な肉弾戦を開始する。激しい打撃の応酬とボイラーの熱気が渦巻く中、命がけの戦いが繰り広げられる。ナイフで斬り合い、お互いの体を壁や配管に叩きつけ合う激闘の末、メトリックスは重い鉄パイプを力任せに引き抜き、ベネットに向かって一直線に投げつけた。

鋭く飛んでいった鉄パイプはベネットの胸を深く貫き、背後のボイラー配管へと突き刺さった。パイプの先端からは勢いよく白煙が噴き出し、ベネットは断末魔の悲鳴とともに絶命する。

娘の救出に成功し、無事に外へと脱出したメトリックスとジェニー、そしてシンディのもとへ、爆音を聞きつけたカービィ将軍率いる米軍の大型ヘリコプター部隊が到着する。惨状を目にした将軍は、メトリックスの圧倒的な戦果に驚嘆し、「また我々と一緒にコマンドー部隊を再編しないか」と復帰を持ちかける。

しかし、戦いを終えたメトリックスは静かに首を振り、「もう二度と御免だ」と告げる。愛する娘ジェニーの手をしっかりと握りしめたメトリックスは、協力してくれたシンディとともに水上飛行機へと乗り込み、再び訪れた平和な日常を守るため、大空へと飛び去っていくのだった。

概要と魅力

『コマンドー』は、1980年代のアクション映画黄金期を象徴する歴史的名作であり、主演アーノルド・シュワルツェネッガーの肉体派ヒーローとしての地位を揺るぎないものとしたアクション・ファンタジーの決定版です。監督を務めたマーク・L・レスターと製作のジョエル・シルバーは、観客が求める爽快感とスピード感を極限まで追求し、複雑な設定や冗長なサスペンスを削ぎ落としたソリッドな構成を完成させました。

本作の最大にして最大の魅力は、主人公ジョン・メトリックスの見せる「圧倒的な無敵感」と「圧倒的な破壊力」にあります。一人の男が数百人の武装兵士を相手に真っ向から立ち向かい、銃弾の雨を一切浴びることなく敵をなぎ倒していく様は、リアリズムを超越したカタルシスを観客に与えます。電話ボックスを素手で倒し、自動車を力任せにひっくり返し、重機関銃を片手で連射するシュワルツェネッガーの超人的なパフォーマンスは圧巻の一言です。

また、日本語吹き替え版(特に玄田哲章氏がメトリックスを演じたテレビ朝日版)におけるテンポの良い洗練された名セリフの数々も、本作が日本でカルト的な人気を誇る大きな要因となっています。「最後に殺すと約束したな。あれは嘘だ」「野郎、ぶっ飛ばしてやった」など、ブラックユーモアに富んだシニカルなセリフ回しが、激しいバイオレンス描写の中に独特の爽快感を生み出しています。

主要キャストとキャラクター

  • ジョン・メトリックス(アーノルド・シュワルツェネッガー) 元特殊部隊コマンドーの隊長であり、人間の域を超えた筋力と戦闘技術を持つ伝説の兵士。愛娘ジェニーを誘拐されたことで覚醒し、たった一人で巨大な敵組織を壊滅させるために立ち上がる。
  • ジェニー・メトリックス(アリッサ・ミラノ) メトリックスの最愛の娘。父親思いの素直で勇敢な少女。アリアス一味に誘拐され人質となるが、恐怖に怯えながらも父親が必ず助けに来ると信じて最後まで希望を捨てない。
  • シンディ(レイ・ドーン・チョン) 偶然メトリックスの事件に巻き込まれることになった客室乗務員の女性。最初はメトリックスの強引さに戸惑うが、彼の強い父性愛を知り、ロケットランチャーをぶっ放すほどの勇敢なパートナーへと成長する。
  • ベネット(ヴァーノン・ウェルズ) 元コマンドーの隊員であり、凶暴性と狂気ゆえにメトリックスによって部隊を追放された男。メトリックスに対して強いコンプレックスと復讐心を抱いており、アリアスと組んでジェニー誘拐を主導する。
  • アリアス(ダン・ヘダヤ) 南米のバル・ベルデ共和国の元独裁者。メトリックスたちによって政権を追われた過去を持ち、再び大統領の座に返り咲くために現大統領の暗殺をメトリックスに強制しようと画策する。
  • スーリー(ビル・デューク) アリアスの手下である元兵士。冷徹で不気味な雰囲気を纏い、メトリックスの追跡を受けるが、車ごと崖から落とされて最期を迎える。
  • フランクリン・カービィ将軍(ジェームズ・オルソン) メトリックスの元上官。部下たちの連続暗殺事件を受けてメトリックスのもとを訪れる。事件解決後にメトリックスに部隊復帰を打診するが断られる。

物語の構成と見どころ

本作の構成における最大の見どころは、上映時間90分というタイトな時間の中に隙間なく凝縮された「無駄のない超ハイテンポなストーリー展開」にあります。

映画開始からわずか10分足らずで平穏な日常が崩壊し、娘が誘拐されてタイムリミットが設定されます。そこからは「11時間」という限られた時間の中で、手掛かりを持つ敵を一人ずつ順番に追い詰め、情報を吐かせては倒していくという、まるで上質なアクションゲームのような段階的なクリア構造が採用されています。

アクションシーンのバリエーションの豊富さも特筆すべき点です。カーチェイス、ショッピングモールでの乱闘、銃撃戦、手榴弾による爆破、そしてクライマックスでの大量破壊とナイフを用いた肉弾戦に至るまで、アクション映画に求められるあらゆる要素が怒濤の勢いで押し寄せます。特に、大量の武器を全身に装着する有名な「装着シーン(装着の儀式)」は、男心をくすぐる名演出として後世の作品に多大な影響を与えました。

類似する作品

  • 『ランボー/怒りの脱出』 シルヴェスター・スタローン主演の肉体派アクションの金字塔。たった一人の超人兵士が圧倒的な火力を駆使して多数の敵陣地を壊滅させるという、80年代筋肉アクションの共通した爽快感を持っています。
  • 『ダイ・ハード』 ブルース・ウィリス主演のパニック・アクション傑作。孤立無援の主人公が過酷な状況の中で知恵と銃火器を駆使して敵に立ち向かい、大切な人を救い出そうとするタイムリミット・サスペンスの構造が共通しています。
  • 『96時間』 リーアム・ニーソン主演のサバイバル・アクション。元秘密工作員の父親が、旅先で誘拐された愛娘を救うために卓越した殺人スキルを発揮して敵を容赦なく叩き潰すというテーマ性が非常に強く一致しています。
  • 『プレデター』 アーノルド・シュワルツェネッガー主演のSFアクション。特殊部隊の隊長として部下を率い、密林の中で過酷な死闘を繰り広げる肉体派ヒーロー像において本作と深い親和性を持っています。

考察:伏線解説と構造分析

映画『コマンドー』は、表面的には単純明快な痛快アクション映画でありながら、その内部には80年代のアメリカ映画が誇る「強い父親像」と「超人的ヒーローの自己完結性」が見事に構築された作品です。

「11時間」というタイムリミット構造の絶妙さ

本作において物語の緊張感を維持している最大の要素は、メトリックスが飛行機から脱出した瞬間から開始される「11時間」というタイムリミットです。この時間は、本来であればメトリックスが乗っているはずのバル・ベルデ行き旅客機が現地に到着するまでの時間であり、アリアス一味が「メトリックスが大人しく工作を行っている」と信じ込んでいる猶予時間でもあります。

この11時間という期限があるからこそ、メトリックスは一切の躊躇や躊躇いを見せることなく、遭遇する敵を最速・最効率で倒して情報を引き出さなければなりません。ストーリー上の遠回りや迷いを完全に排除し、主人公の行動に爆発的な推進力を与えるための完璧な脚本的デバイスとして機能しています。

ベネットという鏡:狂気と正気の対比構造

作中で強烈なインパクトを残す宿敵ベネットは、単なる悪役にとどまらず、「もしメトリックスが自制心と愛を失ったらどうなるか」というifの姿(ダークサイド)として描かれています。かつて同じコマンドー部隊に所属していた二人は、ともに常人を遙かに超えた戦闘能力を持っていますが、ベネットは殺戮の快楽に溺れて正気を失い、部隊を追放されました。

一方のメトリックスは、凄惨な過去を持ちながらも娘への深い愛によって人間性と正気を保ち続けています。ボイラー室での最終決戦は、単なる肉弾戦ではなく、「愛のために力を振るう者」と「殺戮の狂気のために力を振るう者」という精神的な決着を象徴する重要なクライマックスとなっているのです。

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